技術士(化学部門)

技術士(化学)一次試験、二次試験 解説と対策(前野 聖二)

1.二次試験解説 

①Ⅰ、Ⅲの(1)課題の解説

令和5年度の技術士筆記試験の復元論文を作成されましたでしょうか?

復元論文を作成された方は、Ⅰ(必須科目)とⅢ(選択科目)の(1)「課題」をもう一度見直して下さい。設問は、(1)課題→(2)その解決策→(3)そのリスク、波及効果と対策→(4)それを実施するための倫理と持続可能な社会実現のための要件(Ⅰのみ)となっています。(1)を受けての(2)(3)(4)なので、(1)が最も合否を左右するからです。以下チェック項目です。

①設問に合致した標題や内容になっているか?

②標題と内容にズレが無いか?

③問題点は化学産業に関連するものであり、数値や出典を入れ根拠づけをしているか?

④課題は、問題点から抽出された内容となっているか?

⑤観点は課題の一つ上の視座からの内容で、他の2つの観点と切り口的にふさわしいか?

⑥課題の補足説明を入れて内容の充実を図っているか?

⑦(2)の最重要項目として取り上げるなら、「(2)で詳述する。」というワードは入れているか?この場合(2)で補足説明ができるので、⑥は省略しても良い。

採点者は「(1)-1を見て不合格の場合には、その後は読まない。」という情報もあります。


②設問Ⅰの解説

 令和5年の技術士二次筆記試験の合否発表が令和5年10月31日にありました。令和5年4月の申込書の提出から始まった一連の試験対策、本当にお疲れ様でした。

 残念ながら不合格だった方、気持ちを切り替え令和6年度の二次筆記試験の準備を始めましょう。最終的なゴールは技術士として活躍することです。筆記試験は単なる通過点に過ぎませんので、本年度通過すれば良いだけです。

令和5年度の二次筆記試験で最も重要な必須科目Ⅰの問題は、昨今の日本の最重要課題を反映した二つでした。

Ⅰ-1 「化学製品を一つ挙げ、サーキュラーエコノミー実現のための化学産業の課題と貢献」

Ⅰ-2 「顧客や社会の問題に対するソリューションを提案する[提案力」を高めるための化学産業の課題」

令和4年は以下の問題です。

Ⅰ-1「カーボンニュートラル時代に向け、機能性素材に関して、異業種・異分野と協業する上での化学産業の課題」

Ⅰ-2「持続可能な社会実現のため、化石資源を燃料以外の用途に使った化学産業の貢献」

化学に携わる技術者の真の実力が試される素晴らしい問題でした。

 令和3,4,5年度の問題を含め、必須科目Iを自分なりに考察してみます。

令和3年度の問題は、

Ⅰ-1「デジタル化による化学産業の変革課題」

Ⅰ-2「”脱炭素社会”推進に関する化学産業の貢献」

でした。

令和4年度の特記テーマは「異分野との協業」と「化石資源の燃料以外への使用」。

令和3年度の特記テーマは「デジタル化」と「脱炭素社会」です。

特記テーマ(いわゆる”縛り”)が異なるだけで、令和4年度も令和3年度も、基本的な論文骨子は、「化学産業の課題と持続可能な社会に向けての貢献」です。

日頃から①「化学産業の将来性」、②「化学産業のSDGsへの貢献」について問題意識を持つ技術者であれば、論述解答しやすい問題ではないでしょうか?

   令和5年度の二次試験の合格者はわずか27名(令和4年は23名)という過酷な試験です。しかしながら、このような問題意識を持って第一線で活躍されている技術者であれば必ず合格できる試験です。

 

2.試験対策

R4年度の技術士(化学部門)第二次試験の合格率は、15%(対申込者)でした。R3年度(合格率:15%)と同様、厳しい結果でした。言い換えれば、”技術士(化学部門)という資格”の社会的価値が高いという見方もできます。

・合格するためには、"技術士になる"という強い意志を保ち最後まで諦めずに学習することが重要です。また、最後まで諦めずにモチベーションを維持するためには、味方をしてくれる仲間(受験仲間:将来の親友、支援者:会社の技術士の先輩や化学部門セミナー講師など)からのアドバイスも重要となります。

・私の場合は、日本技術士会の「化学部門(若手の会)主催行事」、「修習技術者支援委員会」などで知り合った先輩技術士(技術士事務所の所長や企業内技術士など)からのアドバイスを基に勉強し合格の確度を上げました。また、受験対策セミナーの受講も、この試験ではどういうことを評価されるのかを知る上で大変参考になりました。

・試験に合格できた以上に様々な人脈を形成できたことが大きな財産となっています。

・記憶力や集中力が乏しい私が、以下の対策を実践することにより合格できました。これらの内容、特に「二次筆記試験1年目になぜ落ちたか」が今後受験する技術者の方々へ少しでも参考になれば幸いです。

・因みに、化学部門の場合、受験対策の参考書や問題集は残念ながらありません。第一次試験、第二次試験の問題の解答と解説をブログに掲載していますので、参考にしてください。

① 受験科目、試験日

受験部門(選択科目):化学部門(高分子化学)

受験経験:

一次試験:H28年度合格(H28年10月10日受験)

二次筆記試験:H30年度合格(H30年7月16日受験)(H29年度不合格)

二次口頭試験:H30年度合格(H30年12月7日受験)

② 受験者(本文章作成者)

会社、役職:ヘルスケア製品製造・販売会社 研究開発本部 管理職研究員

勤務歴:約30年

最終学歴:国内大学院、工学研究科工業化学専攻 博士前期課程修了

③ 勉強方法

①第一次試験

具体的対策:

・過去5年分の過去問 独学

・技術士第1次試験演習問題化学部門 100問 単行本(テクノ技術士研究会,現在絶版) 独学

・通信教育講座 受講 

コメント

・いずれも4-5回繰り返し学習し、問題は全て正解できるようにした。特にⅠ基礎、Ⅱ適性科目で初めて目にする問題に関しては、数多くの解答学習をすることが重要となる。

・学習は、3か月前から10時間/週(土日:各2-3時間、通勤時間30分×往復)程度おこなった。

・Ⅲ専門科目の学習は、二次筆記試験Ⅱ、Ⅲの対策となる”キーワード集の作成”としても有用となった。

②第二次試験 筆記試験

<1年目> 

結果: 不合格(Ⅰ:24点、Ⅱ:B判定、Ⅲ:B判定)

具体的対策:

・大手セミナー会社主催の対策講座 受講

・技術士第1次試験演習問題化学部門 100問 単行本(テクノ技術士研究会,現在絶版)独学

コメント

・学習は、4か月前から10時間/週(土日:各2-3時間、通勤時間30分×往復)程度おこなった。

・対策講座で、「業務経歴書の書き方」、「筆記試験の傾向と対策」を特に学習した。技術士試験は、どんなことを試される試験なのか概要を把握した。

<なぜ落ちたか・・・>

ここから先に

①不合格理由、②二年目に向けた二次筆記試験対策、③キーワード集の作り方、④筆記試験当日持参品(便利グッズ)、④二次口答試験対策、⑤技術士のメリット 

などまとめております。

ホームページ掲載には支障(恥ずかしい・・・)がありますので、ご希望の方は「お問合せ」ページから連絡ください。


3.参考資料

①技術士(化学部門)関連ブログ

技術士(化学部門)第一次試験、第二次試験、対策講座に関する情報を「☆技術士(化学)応援☆MAENOSEISEIのブログ」でお知らせしています。


②技術士試験対策研究会(化学部門編)

私は、GSTKK「技術士試験対策研究会(化学部門編)」のメンバーです。参考になる資料や情報を掲載していますので、こちらも参考になさってください。


ご質問やご要望などありましたら、「お問合せ」ページからご連絡ください。

特に、新技術開発センターのセミナーや参考書は、割引価格が適用される場合がありますので是非ご相談ください。


前野聖二 技術士(化学部門) 導電性カーボンブラック

”技術士化学部門”を中心とした様々な技術課題の解決業務をおこなっています。専門は、導電性カーボンブラック、機能性炭素材料、樹脂・塗料複合化、高導電化・高分散化技術です。また、人材育成/衛生関連の知識や経験を応用し「技術部門におけるメンタル強化策」の提案など”人財”開発業務もおこなっています。微力ながら皆様のお力になれるよう努力します。

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